慢性腎臓病に伴う骨・ミネラル代謝異常(CKD-MBD)をかみ砕きたい
2023.03.28投稿
やまおです。
皆さんは糖尿病が悪くなると足を切断しなければいけなくなると聞いたことがありますでしょうか。
今回はその一例として慢性腎臓病に伴う骨・ミネラル代謝異常(CKD-MBD;Chronic Kidney Disease-Mineral and Bone Disorder)について調べてみました。
ではいきます。
なぜ足を切断しなければいけないのか
→神経障害や血流障害による壊疽(腐る)のため。
なぜ壊疽が起きるのか。
今回は血流障害について焦点を当てていきます。
ではなぜ、血流が滞るのか。
→これは血管の石灰化による動脈硬化が起こるためとされています。
血管が鍾乳洞ができるイメージですね。
なぜ鍾乳洞ができんのよ
失礼しました。
なぜ石灰化するのかというと簡単です。
→血中Ca濃度が高くなるからです。
なんで!なんでCa濃度たかくなるんよ!!
→骨が溶けます。(骨破壊亢進)
骨が溶ける?怖い。
→CKD-MBDによる二次性副甲状腺機能亢進症が原因となります。
お待たせしております。
ここで本日の主役、CKD-MBDの登場です。
CKD-MBD
腎臓は、生体のミネラル調節システムの中で重要な役割を果たしている。その機能が低下する
引用:慢性腎臓病に伴う骨・ミネラル代謝異常の診療ガイドライン|日本透析医学会
慢性腎臓病(Chronic Kidney Disease:CKD)で生ずるミネラル代謝異常は、骨や副甲状腺の異常のみならず、血管の石灰化等を介して、生命予後に大きな影響を与えることが認識され、CKD-Mineral and Bone Disorder:CKD-MBD(慢性腎臓病に伴う骨・ミネラル代謝異常)という新しい概念が提唱されてきた。
つまり、腎機能悪化に伴い生じたミネラル代謝異常と、その結果起きる様々な症状の総称した概念的なものですね。
原因
なぜCKDになると骨が溶けるのか、その流れを見てみましょう。
CKDになるとリンの排泄ができなくなり、蓄積される。(高リン血症)
すると、体内のリンの量ホルモンであるFGF23が分泌され、ビタミンDの活性化が抑制される。
FGF23には腎臓にリンの利尿を促す作用もあるが、CKDが進行するほど作用しなくなる。
実際にFGF23の増加はCKDステージ2の段階ではすでに生じているが、PTHはステージ3以降、その後リンの上昇が起きるという報告がある。
ビタミンDの活性化が抑制されると、リンとカルシウムの吸収量が減少する。
すると、血中濃度はリンが高いまま、カルシウムが低くなる。(低カルシウム血症)
血中濃度を正常に戻そうと副甲状腺が刺激され、PTHが過剰に放出し、骨からカルシウムを取り出すために骨が溶ける。(二次性副甲状腺機能亢進症)
その結果リン値が高いままカルシウム値も高くなる。(高カルシウム血症)
血中カルシウム濃度が高くなると溶けきれなくなったカルシウムが血管内で結晶化し、鍾乳洞の出来上がりってわけ。(血管石灰化)
足の動脈に鍾乳洞ができると次第に血流が悪くなるため、最悪の場合足が壊疽を起こす。
壊疽を起こした部分は感染症などを防ぐため切断となる。
切断後の予後
CKDによる下肢切断至った患者の予後はとっても不良です。
下肢切断を受けた人の1年および5年生存率は、非透析患者で75.4%および42.2%、透析患者では51.9%および14.4%という報告があります。
下肢切断に至ると、その後生き残ることは難しく、特に透析患者では恐ろしく予後が不良です。
このことから、透析だけでなく下肢切断に至らないようにCKD-MBDの治療を行うことが重要であると感じました。
保存期CKD患者におけるCKD-MBDの治療
足を切らないために、どのような治療を行うのか。
いくつかの数値がくるっているわけですが治療の優先順位は、P→Ca→PTHの順です。
CKD-MBDの診療ガイドラインで定められている基準値はこちら↓
血清P値 | 3.5~6.0mg/dL |
血清Ca値 | 8.4~10.0mg/dL |
intact PTH値 | 60~240pg/mL |
さらにガイドライン上にはこのような図が記載されています。
この表を参考にして治療を行うことになります。
PTHの値は、PやCaの数値を調整したうえで必要であれば、ビタミンD製剤やシナカルセトを使うというような感じです。
PやCaの値が正常値に収まっている場合は基本的にはこれらの治療は行いません。
まとめ
腎機能の低下で足を失いたくなければ腎臓を大切にしましょう。
日本透析医学会の統計によると、透析患者のうち、4割の方が糖尿病で導入となっているようです。
これは2型糖尿病になるべからず。
糖尿病防止の基本は食生活と運動です。
やまおは足きりたくないし骨溶けてほしくない。
ではまた。